「俺が、送りたいだけだから。」
裕太はそれだけ言うと、また前を向いてしまった。
真昼が顔を赤くして何も言えずに口をパクパクさせているとは知らずに。
「…あーそうですか。わたしがせっかく気を使ってあげたのになぁ。」
真昼は少しやられた気分がして、やっと、そんなことを返した。
「はぁ、なんだよそれー」
裕太がケラケラと笑う。
「だってそうじゃないー」
真昼が前に叫んだ。
するとなぜか、急に裕太が後ろを向いた。
数秒目が合い、しばらくして────
2人は、笑い出した。
「ちょっと、人の顔見て笑わないでよー」
真昼が笑いながらそう言う。
「真昼もだよ、」
裕太が笑いながら、少しだけスピードを上げた。