「えーと…裕太?大丈夫だよ、「付き合ってない」って言ってきたし。」
「え、あぁ…そっか。」
裕太の心に、何かもやもやとしたものが乗っかった。
何だよこれ、と裕太は心の中で悪態をつく。
「……それと、テニス部の子がいたんだけど。」
裕太はその前置きに、首をかしげた。
「…──昨日の演奏、小さく聞こえたらしいよ。」
真昼が深刻な顔をしていた。
「…真昼の声ってバレたわけか?」
「いや、聞こえたのは……ドラムかな、って言ってたから、ホントにちっちゃくだと思うけど…」
「誰かが構内でソロ練してると思ってんじゃね?」
「そうだといいなーって思って、そう言っといた。」
真昼がニヤリと笑った。
出会った当初から思ってはいたが、真昼は人を動かすのが上手い気がする。