───そして。
いつものように、恵がスティックでカウントをとった。
それと同時に、全員が飛び出す。
真昼の澄んだ声が、綺麗に空に抜けていった。
まるで吸い込まれるかのようだった。
みんなが、無我夢中だった。
自然と腕が、体が、声が動く。
ああ、なんて気持ちいいんだろう。
裕太は左前方にいる女子を見ながら思った。
あそこから、綺麗な音が流れてくる。
それに引っ張られて、自分も無心で音を奏でる。
裕太は、そして他の3人は、それぞれが全く違う動きをしているのに、“一体感”を感じていた。
この曲はあまりやっていないのに。
なんでこんなに、自然と音が流れていくのだろう。