「すりむいた?」
反射的に真昼の腕をとって、顔を近づけていた。
不意打ちの至近距離に、真昼は声も出なかった。
「少しだけだな。よかった……真昼?」
真昼が何も反応を示さないため、裕太は顔を上げた。
するともちろん、すぐそこ…あと5cmくらいのところに、真昼の顔があった。
しかも、目が合ってしまうし。
「う…わっ、ゴメっ…!」
裕太はあまりにも近すぎて…いや、真昼の整った顔が近すぎて、数歩分下がった。
「い、いや、いいよ…うちも悪いし…」
真昼は腕を掴みながら、俯いている。
顔が少し赤いことに、もちろん裕太は気づいていない。
しばらくの沈黙が流れた。
お互いにお互いを意識してしまって、だ。