途端に他の音が混ざってくる。
それはとても懐かしい感覚で。
歌がない分、他の音がよく聞こえた。
リリーの綺麗な音色も、冬真の力強いベースも。
正確なリズムをとってくるエリックのドラムも、全部が聞こえた。
そのために合わせるのも楽だし、声を出さなくていい分アイコンタクトもしやすい。
すこしだけ勢いがつけば、みんなでそれに乗っていく。
その感覚は、懐かしいはずなのに新鮮だった。
今までやっていたことが当たり前になっていて。
くれわが弾きやすいから忘れていて。
それがこんなに、簡単だっただなんて。
真昼は出せた答えに満足し、早く、裕太たちに会いたくなった。