──…そこからは、30分もかからずにセッションの準備が整った。
理由は、近くに安いスタジオがあったからだ。
そこは運良く空いていて、スムーズに入ることができた。
「よっし、何やろっか?」
準備を手早く終えた冬真が投げ掛ける。
「んー…久しぶりだし、ボーカル無しがいいな。」
リリーがギターを肩にかけながら呟く。
「あぁ、じゃああれ?SummerFestivalでやったやつ。」
エリックはドラムにどかっと居座っている。
なんだか恵と違う体制に、懐かしさと同時に新鮮さを覚えた。
「あれは結構好きだから1人のときとかでもやってるよ。あれにしよっか?」
真昼は言いながら、「思えば、」と考えた。
思えば、くれわの面子とこの面子は決定的に違う。
正反対と言ってもおかしくないくらいだ。