───久しぶりに、ギターを弾きながら声を出した。
それはもちろん少しのミスを産み出すもので、決して上手い演奏ではなかった。
でも、改めて、裕太はバンドは楽しいものだと感じた。
何に向かうでもなくがむしゃらにギターを弾いて、よくわからない英語の歌詞を叫んで。
1人少なくなった分、お互いの音がよく聞こえた。
リズムがよくわかった。
それがとても心地いいものだと、3人は同じように思い出した。
「っはぁー!」
フィニッシュを決めると、裕太が息を盛大に吐いた。
久しぶりに二役やった分、息も荒い。
でもその表情は、満足気に微笑んでいた。