「え…裕太?」
後ろからは真昼の驚いた声が聞こえる。
「ほら、アイスだけに分けて買うのめんどいじゃん。」
裕太は平然とそう言って、レジに持っていった。
真昼はというと、面食らったように、顔を赤くしていた。
しかしそれを、裕太が見ることはなかった。
コンビニの外に出てから、裕太は真昼に袋を差し出した。
「はい、取ってー」
「おー…ありがとね!」
真昼はアイスを取りながら、少し控えめに笑った。
その笑顔に上目遣いは、グッとくるもので。
「ああ…いや、うん。」
赤くなった顔を隠すために、空になったビニール袋をさっさと捨てに行った。
そして2人はまた、歩き出す。
「……裕太ってさ、」
真昼が唐突に呟く。
「……不意にそうやるの、ズルイ。」
「え…──?」
少し拗ねたような口調と、少しだけ赤くなった耳。
裕太は心の中で、「真昼だって、ズルイくせに」と思っていた。