「これって……婚姻届…」

「あぁ…」

「な、なんで?」

「花菜の誕生日にはまだ早いが、渡しておこうと思って…」

「もう奏くんの名前とか書いてあるんだね」

「あぁ…。後は花菜が書いてくれれば市役所に持っていける」

「当たり前だけど、初めて見た。…ペンある?折角だから今、書いちゃおう」

「あぁ…」








奏大はスーツの内ポケットに入れていたペンを取り出すと、花菜に渡した。
花菜は奏大からペンを受け取ると、婚姻届に署名をしようとした。





しかし、なかなかペンが動かず、奏大は花菜に声を掛けた。