それから奏大は、病室に設置されているシャワールームでシャワーを浴び、新しいスーツに着替えた。
着替えが終わると、花菜の側へ行き、おでこにキスをした。
「奏大…そろそろ出勤しないと時間が…」
「分かってる。……淳平、何か変わったことがあれば…」
「分かってるって。俺が付いているからな、早く仕事行ってこい!」
「…あぁ…すまない…。花菜…仕事に行ってくるな。また8時に帰ってくるから…」
花菜にそう言うと、奏大は創と一緒に仕事へ向かう為、病室を出た。
奏大の切ない言葉を聞いて、毎度の事ながら、淳平は胸が苦しくなっていた。
「花菜ちん…奏大の為にも、早く目を覚ましてやって?……あんなにも苦しそうなアイツの姿見るの、10年ぶりだよ…」
淳平はそういうと、花菜の頭を撫でた。