そしてその日の夜。 面会時間が過ぎた8時。 面会の人間は誰もいないはずだが、花菜の病室にそっと入る人影があった。 それは、奏大である。 奏大は仕事が終わると、いつもこの時間に花菜の病室に来ているのだ。 「花菜…ただいま」 そう言いながら奏大は花菜に近付き、花菜のおでこにキスをした。 そして、ベッドの近くにある椅子に腰掛けた。