「何で記憶がないんですか?」

「それは…」

「花菜ちんにとって、相当なショックだったんだよね。大好きな人がいなくなるって現実が6才の女の子にとったら抱えきれないくらい大きな出来事だったんだと思うよ?」

「大好きな人って…?」

「奏大くんの事だよ。…花菜は奏大くんの事が大好きだったんだ。昔はよく、兄貴の友達だった奏大くんや淳平くんがうちによく遊びに来ていたんだ。そこで花菜は奏大くんに一目惚れをしたんだ」

「あの頃の2人は本当に相思相愛って感じだったよな」

「はい。…でも、あの日、奏大くんが留学をするって知ったあの時、今回と同じように花菜が倒れたんだ。そして…目覚めた時には奏大くんが関わっていた記憶全てがなくなっていた」

「私や創くん、律の事は覚えていたのに不思議よね…」

「それだけ奏大くんが大好きだったんだよ」

「きっと俺は奏大のオマケだけどねー」








淳平のその一言に、皆が哀れみの表情で見ていた。