真夏に
自転車で峠を上る。

汗ダラダラ
喉カラカラ

免許がないから自転車で
峠の向うの卸業者に、ハンコをもらいに行ってきます。

誰か車で連れて行ってくれればいいのに……ブツブツ。

頂上付近で

「こんにちは」
近所のおばあちゃんが歩いていた。

「ご苦労さん」
親戚のおじさんも歩いてた。

「久し振り」
あれ?小学校の担任の先生。

「早いな」
うちの……おじいちゃん。

「酷い格好だね。足は?崖の下?見つけてもらいなよ」
ん?おばあちゃん。

って
みんな死んだ人ばかりだよ。








「暑かったら目まいか何か起こして、フラついて崖の下に落ちたのでしょうか」

「車で送ってやればよかった」

「遺体は悲惨ですね。足がまだ見つかってません」


真夏日
峠を自転車で越すのはやめましょう

   【完】