「これ。落としたのあなたでしょ?」


鋭い目つきをこちらに向けてくる。




何故だろう。


目が、離せなくなっていた自分がいた。



「あ。うん!えっと、、なんかごめんなさい!」


わたしはとにかく落ち着きが無かった。
いや、正確には落ち着けなかったんだ。


そんな挙動不審気味のわたしを見て、
矢樹は、優しく笑った。



「そんなにさ、焦って謝らなくてもいいのに。はい、どーぞ。」


矢樹は、
大きな手の平に、使い込んで小さくなった消しゴムをのせ、それをわたしに向けながらそう言った。



「そうだよね!あの、、有難う。」

わたしは、素早く消しゴムを受け取り、小さくそう言った。