矢樹 啓は、
わたしの思わず漏らした「あ。」という声で、何が起きたのか気づいたのであろう、自分の机の真横を見ていた。




そして、その消しゴムをそっと拾い上げ後ろを向いた。


わたしと矢樹は目が合った。




「あ。」


まずい、また言ってしまった。わたしはまたしても同じ言葉を漏らしてしまった。