「リュウは…関係ない。俺の問題や。」
「…今から会いに行かねーの?」
「……行けへん。約束しとるのは明日の3時やから…」
「別にいいだろ今だって!今更約束も何もないだろ!!」
「ちゃうねん…明日の、2時に取りにいかへんと…。」
そうや。
紫衣に、会いに行くなら
あれが無いと…。
イライラしながらため息をはいたリュウ。
紫衣。紫衣。
俺は明里なんて眼中に無いから
お前も…もっぺん、俺に振り向いてくれ…
紫衣がなんべん余所見しても
そのたび振り向かすから…。
「…かおる。紫衣ちゃん、泣いてた。めちゃくちゃ苦しそうだった。」
「…おん。」
「…紫衣ちゃんを笑わせるのも、泣かせるのも、全部お前だと思うよ。」
「…ありがとうな、リュウ。」
「ん。今日はもう帰りな。店閉めちゃったし。」
リュウは、ほんまええやつ。
紫衣にとっては、麻緒ちゃんか。
…紫衣。
お前が抱きしめられへんところにいるのが
こないにつらいとは思わんかった…。