「結果発表~直樹くん17回

ノエルくん26回」


外で蝉が煩く大合唱してるなか、俺は負けた………。
完敗だった。
朝起きた時から体が重く腹もグルグルと不快な音を響かせていた。
俺は息も切れ切れでなんとか二重飛びをしていたが、あいつは汗ひとつかかずに風を切っていた。

女の子たちは「王子くん、カッコイイー」とあいつを囃し立てていた。
俺は負けた事の悔しさと全身の体の重さに地面の上で大の字になっていた。
「直樹くんもかっこ良かったよー」なんて声も聞こえてきたが、今は悔しくそれどころじゃない。

肌に降り注ぐ太陽の光に陰ができた。
「こんな所で寝転ぶなら日陰で寝転べば」ノエルが俺の顔を覗きこんできた。
心配ご無用、手でシッシッとしたら、「心配してる訳じゃなくて、園庭の真ん中でごろ寝されても、みんなの迷惑なの」と、わからないの?と付け足して教室に入っていった。

ムカツクなーと思いながら、重い体を起こした。
負けたのは事実で悔しさもある。
だけど、自分なりの達成感、充実感が胸の中から燃やされたように熱い。
俺は真剣にやっていてあいつも真剣にやっていたと思う。だからなのか?


悔しいが後悔はなかった。