「来てくれて、ありがとうね、二谷さん」
「え、いや……あ、うん」
つぶらな瞳をこちらに向けて、ふんわりと笑う美山さんに、あたしはどもるしかなくて。
その笑顔からは、シャボンの香りが漂ってきそうなくらい。
そんな風に素直にありがとうなんて言われちゃうと、ドキドキしてしまうのだけど。
美山さんて、顔だけじゃなく性格まで美人なんだな。
ああ、こんな子がライバルだったらもう絶対に無理だ。
「私、二谷さんと、話がしてみたかったんだあ」
「……ひよ、でいいよ」
「え?」
「二谷さん、じゃなくて。
ひよ、でいいよ。
みんな、そう呼んでるから」
「……ありがとう」
美山さんは儚げで、今にも消えてしまいそうな声。
……守ってあげたくなる。
これはもう、絶対に。
あたしだってそう思うんだ。
瑠樹亜がそう思わないわけがない。