「二谷さん、サンドイッチ、食べない?」
そう言う美山さんの提案に賛成して、ワッフルではなくサンドイッチを二人で分けることにした。
ふかふかのタマゴサンド。
それを、ゆっくりとゆっくりと、口に運ぶ美山さん。
その丁寧な仕草に。
女のあたしでもうっとりしてしまう。
「今日は章江が、お前と話をしたいんだって」
美男子はそっけなくそう言うと、チュルチュルッとジンジャーエール(らしきもの)を啜り、するりと席を立つ。
「えっ、瑠樹亜くん、帰るの?」
「悪い?」
驚くあたしに、上から鋭い一瞥をくれる瑠樹亜。
て、いうか。
人を呼びつけておいて、さっさと一人だけ帰るってどうなの。
「瑠樹亜のお父さんね、今日、久しぶりにアメリカから帰ってくるの」
そうこっそりとあたしに教えてくれたのは美山さん。
瑠樹亜の背中は、もうとっくに出口へと向かってる。
相変わらず、バイバイ、も、またね、もない。