「この前は、どうもありがとう。あの、保健室で……」
何も知らない美山さんが、列に並んでいるあたしに無邪気に近付いてきて。
「あ、あ、いや、うん。
な、な、なんにも……」
どもるしかないあたしに。
「私達も、たこ焼き食べよっか」
なんともまあ、タイミングがいいのか悪いのか。
美山さんはそう言ってにっこり微笑んで。
「なら、二谷に僕たちの分も頼んじゃえば」
いつもと変わらない俺様な瑠樹亜。
……えっと。
マジで?
「お願いしていいかな?
私達、席、取っておくから」
「あ、あ、あ、あ、う、う、うん」
我ながらどもりすぎたけど。
「あ、僕、ネギタコ、マヨなし」
まるで何事もなかったような瑠樹亜と。
「じゃあ、私は、めんたいマヨソース。それから、お茶も頼んでいいかな?」
以外と図々しい美山さんは、あたしを取り残して去って行くわけで。