思った通り、そこはリビングみたいだった。
大音量のオペラ。
震えるイタリア語が響いている。
大きなガラステーブル。
その上には、さっきまで誰かがお茶を飲んでいた形跡がある。
どっしりとした、チョコレート色のソファー。
そこに、誰か座っているような気配がする。
けれど、レースのカーテンでよく見えない。
瑠樹亜かな。
お母さんかな。
誰かお客さんが来てるのかも。
しばらく目を凝らしていると……
ふわり。
風がカーテンを捕らえて、一瞬、浮き上がった。
リビングの中が、露になる。
白いレースカーテンのベールを脱いだ目の前の光景に……
あたしは思わず、息を飲んだ。