「えっと……
瑠樹亜くん、なに、読んでるの?」
「関係ある?」
「ありますよ。同じしおり係ですから」
「……」
「仕事、しましょうよ。いつまでも帰れないですよ?」
あたしの言葉に、開いていた本を閉じる瑠樹亜。
あたしってば、敬語は抜けないけど、瑠樹亜のことうまく扱えてるじゃん。
なんて、自分で自分を誉めていると。
「てかさ、余分な資料が多すぎんの。
僕らの行く農家についてなら、これと…… あと、これくらいあれば、十分じゃね?
何でも手当たり次第持ってくるから、こんな量になるの」
わたしがやたらに集めた本達を、バサバサと手際よく仕分けしていく瑠樹亜。
「稲刈りでしょ? 体験すんのは。
なら、これもいらないし、これも」
「あ、そっか、ごめ」
「だいたい、資料なんか必要ねえよ。頭悪い担任の言うことなんか鵜呑みにしてどうすんの?
知識なら農家の人に直接聞けばいい。
事前に詰め込んだノウハウなんてアテにならないし、ムダ」
瑠樹亜の言っていることは確かに正しくて、あたしも思わず頷いてしまう。