「わたしさ、先生と付き合ってた時さ。あ、中学の時ね」
「うんうん」
だめだ。
なんか、クレープの味がよくわかんなくなってきた。
「自分がすごく大人になった気がして、嬉しかったんだ。
でも今はさ、なんつうか……普通の恋がしてみたくなって。
憧れるだけじゃなくって、喧嘩とかして。
そうゆうの、向井となら、できるような気がした」
………
中学3年の時、英語の実習生に一目惚れして、猛アタックしたのん。
実習期間が終わってから、その大学生と付き合うことになった。
のんは彼にすごく夢中になって、初めても捧げて。
でも結局、遊ばれて捨てられてしまったような形になって。
あの時ののんは、すごく落ち込んでた。
禁断の恋だったから、あたししか知らないことだけど。
だけど確かに。
のんはあの頃からめきめき可愛くなって、すごく大人っぽくなった。
悲しい恋と引き換えに、何か宝物を見つけたみたいに。