天井を見上げて、パチパチする美山さんの大きな瞳。



「……あ、そうなんだ」


ここは早いところ、退散した方がよさそうだと、あたしの中の何かが警告してる。

多分、美山さんと瑠樹亜の関係は、単なる知り合いとか、友達なんかじゃない。

そんな気がする。

しかもそれを、美山さんは誇らしいと思っている。


『私は瑠樹亜の特別なの』


そんな感情が、嫌だけれど伝わってきちゃう。
言葉の節々から。


「普通だってことが、幸せってことを知らない人は、瑠樹亜のことなんか、わからないですよ」


天井に視線を置いたまま、美山さんは何か哲学風な口ぶり。


けれど。
そんな美山さんの言葉は、なぜだかあたしの心を刺した。


なんて言うか。

美山さんの言っていることはよくわからないんだけど。

でも、あたしを見下しているということは、わかる。

もちろんそれは、美山さんが美人であたしがそうでもないから、とかではなくて。

瑠樹亜のことについて。
私の方がよくわかってる、的な。