「会いに行ってやって、章江のところに」
「……うん」
瑠樹亜の言葉に頷くと。
気持ちが、すん、と穏やかになっていく。
ここから見る景色も。
角度によって色々変わるように。
悲しみがいっぱい詰まったあの出来事も。
もしかしたらいつか。
とてつもなく大きな力になるのかもしれない。
そしてその力が。
何かものすごく重たいものを動かす力になるのだとしたら……
「あ、そだ。
いつかは、山本も一緒に連れてってもいい?
アイツ、美山さんのこと、待ってるから」
「山本? 誰だっけ、それ」
「……分かってるくせに」
「はは」
……そう。
あたしの些細な言葉に。
「……笑った。
瑠樹亜が……笑った……」
瑠樹亜がいつか。
こんなに優しい笑顔で笑ってくれる時が来るように。
「あ?
笑っちゃ駄目なのかよ」
「ううん……うれしい……」
大きな変化に。
いつか気が付くことかてきたのなら。
「相変わらず、変な女」
それがきっと。
……無力な僕らの、世界が終わる時。
なんだから。
『無力な僕らの世界と終わり』……end