「駄目……!!!」



無我夢中で。

あたしは目の前に迫った、瑠樹亜の足を掴んだ。



「……っ、離せ、離せよ! 二谷!!」


触れたくて、触れたくて。

遠くから見ているだけだった瑠樹亜。



「絶対、離さない!!!」


全身の力を込めて。
憧れだった瑠樹亜にしがみつく。



「……ひよ」


見上げると、美山さんの顔が見えた。
少し上から、こちらを見下ろしている。



「美山さんも!
死んだりなんかしちゃ駄目!」



理解なんかしてあげられない。
適切な言葉も見付からない。


何も役には立たないかもしれない。

あたしは無知で。
ちっぽけで。

二人のためにできることなんて。
本当に少しかもしれない。


でも。
だけど。



「またねって、言ったじゃん!!
いつでも話聞くよって!
あたし、言ったじゃん!!」


「離せ! 離せよ! 二谷!」


しがみつくことくらいはできる。
気持ちを伝えることくらいは、できる。


「だからお願い……!
行かないで……!!」


乾いていた涙が。

再び頬を伝った。