………
こんな風に過ごしてると、つい忘れてしまいそうになる。
瑠樹亜と美山さんは、ここからいなくなってしまうんだということが。
ちら、と、山本の横顔を盗み見てみる。
山本は美山さんに視線を泳がせてそわそわしていて。
まだ顔が赤い。
きっと、まだドキドキしてるんだ。
あたしがいつも、瑠樹亜を見詰めながら、そうしているように。
あたしも、山本も。
もう少しで、好きな子に会えなくなる。
悲しむかな。
責められるかな、山本に。
バスの喧騒の中。
あたしは、忘れていた黒い黒いものに。
後ろから突然襲われて、暗い気持ちになり始めていた。
協力するなんて言ったけど。
今でもそのつもりだけど。
あたしなんかに。
本当にできるだろうか。
平気な顔で。
じゃあね、元気でね、なんて。
二人を送り出せるんだろうか。
本当は……
あたしも一緒に逃げ出したいくらいなのに。