「おー、うちの班はみんないるかー」
「あ! 向井!
やっと来たあ! 遅いよ!」
「わりーわりー、なんか、興奮しちゃって、昨日眠れなくってさー」
「はあ? バカじゃないの?」
うちの班で最後に登場したのは向井。
のんが向井の側に駆け寄って、「もう!」と言って肩を叩く。
その、ふんわりした二人の雰囲気に。
本当に仲がいいんだなあ。
羨ましいなあ、なんて思う。
あたしがぼんやりと二人を眺めていると、
「ふ、二人は……仲がいいんだね……」
消えそうな声で、背後からそう声をかけてきたのは、同じ班になった宇佐田(うさだ)弓子さん。
黒いおかっぱ頭。
長い前髪をピンで止めてる。
目が細くて、鼻と口がすごく小さい。
背も小さくて、細い。
なんていうか……
パッとしない女の子。
(人のこと言えないけど)
「えっ、あ……あ、う、うん、そだね……」
同じ班にはなったけれど、ほとんど話したことがないから。
話しかけられて、めちゃめちゃびっくりしてどもってしまった。
「……これから……よろしくね、ニタニさん」
弓子さんがにんまり、と笑う。
「あ、え、うん。
よろしく……」
暗い雰囲気の弓子さん。
いつも一人でノートに何かを書き込んだりしてるから、みんな不気味がってるけど。
話してみると、案外いい人かもしれないし。
これを機会に、少し仲良くなってみてもいいかもしれない。