「どうもなってないよ……」


そう、多分、あたしと瑠樹亜は。
知り合い以上、友達未満。


「でも、すごいよ、ひよは。
まさか、瑠樹亜とここまで仲良くなるとは思ってなかった」


のんがそう言って露骨に驚いて見せるから。
あたしも何だかその気になってしまう。


仲良く……
仲良く見えるのかな。

もしそうなら、めちゃめちゃ嬉しいけど。



「私も今日はひよとマック行きたかったけど、瑠樹亜に先越されちゃったな」


「え? そうなの?」


「うん、でも。
相手が瑠樹亜なら遠慮しなきゃ」



のんはあまり詳しく、あたし達のことを聞いてきたりはしない。

自分の恋に忙しいという理由もあるとは思うけど。
のんの、その。
するりと人の懐に入っておきながら、ぐちゃぐちゃにかき混ぜたりしないところが、あたしはすごく好き。

踏み込んでもいいところかどうかを。
本能で見極めてる。


すごい才能だと思う。



「明日から修学旅行だもんね。
ひよ、浮かれて、忘れ物なんかしないでよ?
私も、今日は早く帰って、支度しなきゃ。
班長だから、遅刻する訳にもいかないしね。
あ、向井にもちゃんと言っておこう」


そう、明日から、いよいよ修学旅行なんだ。

だから、今日は、マックでミーティングがあるんだろう。


『世界を終わらせる』計画の。