「私にとって、もう、瑠樹亜は。
私の一部みたいなもんなんだ」
じっと遠くを見ながら、美山さんがそんなことを言うから。
あたしの心臓はまたドキドキとうるさくなる。
『私の一部』
それが、具体的にはどういうことを示すのかは分からないけれど。
美山さんの瑠樹亜に対する思いは、好きだとか付き合いたいだとか、とういうことをとっくに越えてしまっているのだと思った。
『世界の終わり』
バスの中で、瑠樹亜がそう言ったことを思い出す。
あの時の瑠樹亜も、こんな顔をしていた。
なんでもない、ただ、いつものおしゃべりをするような。
普通の顔。
「大事、なんだ?」
「うん、大事」
「そっか」
そっか、って言ったら、何だか泣きそうな気持ちになった。
二人の間に、あたしの入る隙なんか……
「でも、ひよも、大事だよ」
「え?」
「ひよも、大事。
友達になってくれて、嬉しい」
……友達。
友達、なのかな。
あたしと、美山さんと……
瑠樹亜。