「二谷さん……ひよって、優しいんだ」


「えっ?」


「瑠樹亜がひよを選んだのが、わかる気がする」



る、る、瑠樹亜が……
あたしを選んだ。

なにその、素敵な響き。



「ひよって、プラスマイナスゼロな感じがする」


「ぷ、ぷ、ぷら?」


「プラスマイナスゼロ」


……±0
うーん、どうしよう。
誉められてるのかどうかも分からない。


あたしは美山さんの表情を読んでみるけれど、ダメだ。
かわいさに隠れてる。



「強いオーラも弱いオーラもない。
すごく、安定してる感じかする」


「……あんてい?」


「そう、安定」


美山さんはそう言って自信満々だけれど。
あたしは全然安定なんかしていないのに、と思う。

あたしはいつもフラフラだ。


瑠樹亜に。
美山さんに。

やっぱり瑠樹亜に。

ぐらんぐらんに揺さぶられてる。