「でも会議は9時からなんでしょう? ま――」

「ごめん、切るね」


これは非常にマズイ。また20分も待たなくてはならない。これではギリギリセーフどこではない、完全に遅刻だ。


「あーあ、もう! 参ったのはこっちだよ!」


もう一度舌打ちをしたが、じっと待つしかない。今度は絶対に逃すまいとホームで待ち構えることにした。


「あの課長、怒鳴るから苦手なんだよな……」


――トルルル……トルルル……


――また電話かよ! うざいな!


一瞬無視をしようとしたが、娘の真紀の笑顔がちらつき、思いとどめた。しぶしぶと乱暴に通話ボタンを押した。


「悪いけど、急がなくてはならないんだよ!!!! もう電――」


「ばかもん!!!!」


――えっ、課長!?