――トルルルル……トルルル……


また電話?


仕方なしに雑誌を元に戻し、書店から一旦出た。


一体なんだっていうんだよ。


溜め息を吐きながらも、通話ボタンを押した。


「はい……もしもし」

「貴方大変なのよ! 全然あの子が見つからないの……参ったわ――ねぇ、真紀が良く行く場所とか貴方知らない?」


君の方が真紀といる時間が長いのに、俺が知るはずもないだろう。


君に気を使って俺は、わざと格安の居酒屋で夕食をすませることも多いっていうのに。


「悪いけど、朝一に重要な会議があるって言っているだろう?」


――そうだ、時間……

マズイ! いつの間にか本に夢中になっていて一本逃してしまっていた!