吹き抜けていく風で背中がどんどん丸くなる。耳にはアスファルトを歩く、靴音が聞こえた。


それでもなぜか、起き上がる気にはなれなかった。自分をもう少し戒めたかったのかも知れない。


――馬鹿みたいだ私。でも、もう元には戻れない……

好きな気持ちが、いつしか娯楽に変わっていた。本当に馬鹿だった私……最後じゃなくて最初から、自分に向ける努力をすれば良かったんだ。


もう遅いか……

ん、背中が冷たい――雨?


自分の中でケリをつけるように思考を回転させ反省をしていると、そうもしていられなくなった。


背中をポツポツと濡らしていた雨が、だんだんと強さを増し、顔を見上げると雲が黒く、青空がなくなっていた。

いつの間にか、アスファルトを強く叩きつける、どしゃぶりになっていた。