「い、痛い!!!! 

あ、行かないで! お願い! 違うんだってば!」


いつもなら頼りになる太い腕が、思いっきり力を込め、私を突き飛ばした。


コンクリートの硬い感触が、尻と腰を強く打ちつけ、ヒンヤリとした冷たさが心までもに染み渡る。


「……な、なんでなのよ……もう――」


人目を気にせず、冷え冷えしたコンクリートに思わず蹲った。おでこを付けると熱を冷まし、砂利が少しだけ痛かった。


なぜか追いかける気にもなれなかった。

心の片隅でどこか分かっていたんだ。

彼は始めから私を見ていないことに。