彼、もとい秀人さんのお部屋はとてもシンプルだった。
散らかすにしてもたかが知れてると言っても良いくらい物もない。
六畳一間の畳に何故かでんっとベットが多く陣取って、後はテレビだけ。
ポスターが一枚だけ貼ってあり、アコースティックギターが壁にもたれてる。
落ち着かずに、つい、きょろきょろしてしまう。
「適当にくつろいでて。」そう言うと秀人さんは、少し濡れてしまったシャツを脱いで部屋を出て行く。
「きみも、一緒に入る?」冗談めいた声で指差した方はどうやらシャワールームというより脱衣所、もしくは風呂番といった感じのバスルーム。
私は慌てて首を降る。
秀人さんは、笑いながらバスルームに消えた。

「この部屋ボロだけど、安くて一応風呂とトイレがちゃんと部屋に着いてるから決めたんだ〜」

呑気にそんな声とシャワーの音が耳に届く。
・・ちょっと待って。
まさか、この展開・・

家族以外の異性とお風呂の経験なんて、幼馴染みの聡としかない。
今だってないのに、まだ胸がまな板並になかった時代だ。
光ゲンジだってまだローラースケートで滑ってた頃の話だ。
彼氏だってまだいたことないのに、なんで私は、しかも憧れの人のお風呂上がりを・・