ジリリリリリリ・・!!

けたたましい音が耳障りに鳴り響く。
朦朧としながら、私の安眠を妨害する目覚ましを手に取り、その時計が記す時刻に一気に意識が覚醒する。
「ヤバイ!!」

私は大急ぎで身支度をする。
顔を洗いに行くと。
「おはよ〜由美菜さん。」「おはよう、一陽!」
「朝御飯出来てるよ。」
「ありがとう!」

秀人、あの人が当時24歳の私に突然自分の息子を押し付けてから、もう8年も経っていた。
現在、私は32歳。
今年15歳の彼の息子の一陽は、よくあんな身勝手な両親からと感心するくらいとても良く出来た子だった。
なんせ、中身はともかく容姿は完璧に父親譲りで非の打ち所がない。
更に成績優秀、スポーツ万能、正に漫画の様によおぉく出来た子に育ってくれた。
おかげで来年高校生になるが、超名門高校を入学金&授業料ほとんど免除の特待生で進学が決まっている。
「うん、今日の朝御飯もおいしい。」
「そう?よかった、お弁当も作っておいたから。」
「きゃ〜一陽ったら最高!」

そう、一陽が優秀なのは学内だけでなく、家庭内でも最高なのだ!

「あんたと結婚する子が本当、うらやましいわ〜」

味噌汁をすすりながらしみじみ思う。