「名前、なんて言うの?」
まず、私が先に沈黙を破った。
その男の子・・見た目年齢五歳位。
父親譲りの大きい目。
上目使いで私を見ながら、小さく答えた。

「・・小川一陽(かずあき)」
「年は?」
「・・七才。」

驚いた。
七つに見えない位、背も低くく・・気付かなかっただけで着ている服も汚れており、ガリガリの痩せぎす。何日お風呂入ってないんだろう。

私は溜め息ついた。

「おいで、お腹減ってない?」

すると、驚いた顔で一陽は私を見た。
「何か食べる?」

一陽は大きく首を降った。

私は一陽の手を取り、部屋の中へ招き入れた。

今思えば。

この日・・私が一陽の手を取った瞬間に、この先起こる、普通を願っていた私がとんでもない運命に導かれてしまった事に気付くには、これから10年後の事だ。
そう、この少年・・一陽の父親の名は「小川秀人」。
彼との出会いは、私がまだ高校生の頃。

当時、私は同い年の友達、一つ上の幼馴染みと共にバンドを組み、近くのライブハウスで月イチ位でライブをしてた。

つまり、若かったのだ。

いつか、このメンバーでデビューしてビックになってやる!
放課後、お幼馴染みのメンバーの家にたむろって、ギターやベースの玄を