正臣は礼を言わずに私のパンを受け取った。そして手でありがとう、と合図をする。私は空き教室に隠してある冷蔵庫の中からジュースと、お菓子を取り出してお昼ご飯を済ませる。 「葵、私のパンいる?」 「いらない、ありがと」 春が気を使ってパンをわけようとしてくれたけれど、断った。私は元々ご飯が好きじゃないから、お菓子で十分。春は知ってるけれどそれでも気を使うのは春の性分なんだろう。