「葵、遅い。遅すぎる」
空き教室に入った途端、怒った声が聞こえた。この声の主は春。この学校で数少ない友達の一人。身長は高く、綺麗な見た目に尖った性格は可愛くもある。

あぁ、少し、この空き教室は落ち着く。
春のいつも小言は私を疲れされるものでもあるんだけど。

「春、そんな怒るなよー」
笑いながら私は椅子に座る。そしてコンビニで買ってきた紙パックのジュースを春に渡して、私もストローを刺して飲む。

「……ぬるい」

これも、いつものことだった。

「葵明日からもっと早く来てよ、
私暇だし、やる事ないし、意味ないし」
意味とは学校に来る意味。

ごめんね、私、早く起きれないし。
こんな所に遅刻してでも来る私を褒めて欲しいくらいなのに。

ー春の尖った性格、というのは周りに対してだけで、私にはとても甘えたで私が大好きで。私を神様のように思っている節がある。そんな態度も私にだけ、だ。