"In the size of the lie there is always contained a certain factor of credibility, since the great masses of the people...will more easily fall victims to a great lie than to a small one."
(嘘の大きさに、信憑性を生み出すある種の要素が含まれているといえる。大多数の人間は…小さな嘘よりも、大きな嘘にたやすく騙されるからだ。)

確か有名な誰かはこう言っていた。なにかの本で読んで、私はこの言葉をその通りだと共感したことを強く覚えている。

確かに、大きな嘘ほど付きやすいものはない。自分の知らない事を言われると大抵の人はそれを真実だと思い込む。


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学校を出てから、真っ直ぐ家に帰った私は出かける準備をしていた。

「服は良し、髪の毛は…纏めよう」

私はお父さんの所へ行くと嘘をついて早退して帰ってきたから、今からお父さんの所へ行くつもりだ。小さな嘘は言ってしまってからでも真実になるものなら、真実に変えた方があとあと楽だからだ。

「お父さんの家…は行きたくないな。
仕事終わりにお茶でも誘ったらいいか」

お父さんに会うのって、いつぶり?
何ヶ月ぶりだったっけ。
最後に会ったのっていつだったけ。

…あれ、全然思い出せない。