俺は、馬鹿か。いや、馬鹿だ。

春の世界には葵しかいないのも、
俺は春の世界に入れないのも、
全部全部わかってたことだった。

入れないから、守るくらいしたいのに。

気づいてなかったのか、なんて。
なんで言ってしまったのか。

……後悔しても意味なんかねぇよな。

俺が黙り込んでしまうと、春は席を立った。「…私、帰る」明らかに落ち込んだ様子で鞄を手に取り、春は帰ろうとした。

「春ちゃん、待ってよ」
少し焦って俺は引き止めた。そんな俺を鬱陶しそうにする春はいつも通りなのに、春の瞳は悲しみの色をしていた。

そんな状態で帰らせられねーよ。
そんな泣きそうな顔してるのに。

でも、その原因を作ったのは、俺…か。

「知らない、涼太には関係ない」
いつもの強気な春の声。