私は差し出されたチュッパチャプスを受け取ると一言ありがとう、と伝えた。そんな私を見て涼太は微笑んでくれた。

ああ、そうだ。涼太はこういう奴だ。

なにがあったのか聞かないのは彼なりの優しさ。そしてこういう気遣いの仕方は葵に少し似てるな、と思う。

私は貰ったチュッパチャプスを見て、自然と嬉しくなった。それは涼太の優しさと気遣いのおかげだろう。

そして涼太はわざと明るく振る舞う。
「昨日はさー、まじびっくりしたわ」涼太は昨日葵と正臣が付き合ったことを面白可笑しげに話した、私はその話に相槌も返事しなかったけれど。

「まさか正臣から行くとはねー」
「まじやるわ、あいつ」

やる、ね…あいつ、本当に好きなの?
葵は正臣のこと好きなのに、
正臣があんなじゃ葵可哀想じゃん。

「葵が好きって冗談で言ったってわかってんのかね」

涼太のその言葉に、私の頭は真っ白になった。