「春、お前は葵に溺れてるだけだ」
そんなことを言ってしまった今日の俺は【いつも】とはかけ離れていた。何故か今日の俺はいつもより可笑しいみたいで。
…違うか、昨日からだ。
「はははっ」笑いが込み上げて来た。
あほらしいな、学校もこの教室も。
このクソみたいなクラスメイト達も。
春も涼太も、葵も……そして、
俺も、だ。
そんな言葉を聞いて、そんな俺の顔を見て、春は怯えていた。葵のことになると人が変わるのはいつも通りだけど、春もこんな顔出来るんだな、と冷静に思う。
俺は春の強気な所を気に入ってたのに
今の春は、クソな奴等と一緒だ。
俺を見るクラスメイトの奴らと一緒の顔してるな、と笑って言うと春は教室から出て行ってしまった。
春が出て行ったあと「なははっ」自虐的な笑みを浮かべると、クラスメイト達は俺を見て、また嫌そうな顔をした。
ああ、この空気は、俺を苛立たせる。
春のあの表情も、苛立たせるには充分だ。
「春、お前は子供だよ」
その呟きは誰にも聞こえていなかったー