「あー、面白くねぇ、ヒマ。
そうだ、先生面白い話してよ」
正臣はナイスアイディアを思いついた子供のような笑顔で教師に話しかけた。クラスメイトは静まり、皆揃って嫌そうな顔をした。

…正、また始まった。

「おいおいおい、お前らなにその顔?
言いたいことあるなら言ってみろよ」
涼太は明らかに不機嫌な様子で近くのクラスメイトに絡む。

…涼太も、始まっちゃったよ。

「先生ぇ、ヒマなんすけど」
正臣は屈託のない笑みを浮かべる。その笑みは朝見せた笑顔とは違う、威圧感たっぷりの少し怖い笑顔だった。


…今日の正は、いつもと違うと思ってたのにやっぱりいつも通りだな、と心の中で呟くと、少し笑えた。


私…私だけ、浮かれちゃってたよ。
なんか恥ずかしいんだけど。
はは、バッカみたい。つーかバカ。

やっぱり私は、こんな私を少しだけ笑った。