聞こえてしまったのか。

「そっか、ま、そうだよね」私は笑って正を見た。目は、合わせられなかった。

だって、正の考えてることなんて微塵もわからなかったから。

「明日、朝、迎えに行くから」それだけ言って、正は歩き出した。私はその背中を追うことも見ることも出来ずにいると、正は一人で帰っていった。

振り返ってもくれないのか。
でも、これもいつものことか。

…明日くらいは、早起きをしよう。

それだけを決めて家路についた。