外に出るとすぐ、見慣れたカーキ色のモッズコートが目に入った。

フードについているファーが陵の小顔を引き立てるし、このコートとペコスブーツの組み合わせ、似合ってて好きだったなぁ.......なんて、この期に及んで現実逃避するかのように思い出す。



「お待たせ。」

「わりぃな、寒いのに。」

「ううん。何処行くかわからないって、ワクワクするじゃない? なんか楽しくなってきちゃった。」

「そう? ま、すぐ着いちゃうんだけどな。」

「近く?」

「うん。じゃ、行くか。」

「うん。」



頷くと、稜はニコっと笑って、駅とは反対の方向へ歩き出した。