稜が、ふふって鼻で笑いながら、人差し指で私のおでこの真ん中を押す。

それから、眉間にしわを寄せて、悪ガキみたいな笑顔を見せる。



ずっとずっと、私はこの笑顔が大好きだった。

子供の頃から変わらない、何か企んでるみたいな、クシャクシャの笑顔。

いつも私のそばにあったのに、もうすぐ消えちゃうんだ........



「じゃ、明日、帰ったらメールするわ。引き継ぎやら何やらで、ちょっと遅くなっちゃうかもしれないけど。」

「いいよ。明後日、休みだし。」

「なら、デートじゃねぇの?」

「航佑、仕事だから。何かのイベントなんだって。」

「ふ〜ん。」