ツリーが立っている建物のメインエントランスは二階で、奥に進んで行くと坂が見下ろせるテラスがある。

時間も時間だし、数組のカップルがいる以外、広いテラスにほとんど人影はない。



「大丈夫?」

「うん。.......もう大丈夫。」



そう、クヨクヨしてても何にもならない。

しっかりしなきゃ。

泣いたって、どうにもならないんだから。

叶わないって、届かないって、ずっと前からわかってたんだから.........



「じゃあさ、聞いてほしいことがあるんだ......。」

「........うん。」



薄暗いテラスでツリーの明かりに照らされた航佑は、キラキラ輝いて、ハッとするほど素敵に見えた。

その顔で切なそうに真っ直ぐ私を見つめるから、さっきまで泣いてたくせに、ほんのわずかな沈黙にも、心臓が持たないんじゃないかと思うくらいドキドキしてしまう。