電話は航佑からだった。

今夜は、航佑の仕事が終った後、会うことになっている。

このクッキーも実は航佑に食べてもらいたくて、朝から張り切って焼いていたものだ。



航佑は、元々、稜の学生時代からの友人。

私たちが生まれた時から一緒にいる幼なじみだと知った上で、わざわざ稜に断ってまで、私に告白してくれた。

同じ年なのにとても落ち着いていて、どんな時も私を優しく受け止めてくれる。

今まで付き合った他の彼氏たちとは、比べ物にならないくらい大好きな人。



「うん、わかった。.......じゃあ、迎えに来るの待ってるね。」



ここで長電話するのも気が引けるので、手短かに今日の約束の確認だけして、電話を切った 。